SUGUSAKU 相続専門の税理士事務所
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申告期限の10か月を、
月ごとに何をするかで割ってみる

HOMEお知らせとコラム 申告期限の10か月

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相続税の申告と納税の期限は、亡くなった日の翌日から10か月です。10か月と聞くと余裕があるように感じますが、実際に相談に来られる方の多くは、半年が過ぎたあたりで焦り始めます。戸籍を全部集めるだけで1〜2か月、金融機関から残高証明を取るのにさらに1か月。手を動かせる時間は、思っているより短いのです。

10か月のうち、実際に使えるのは何か月か

相続の手続きは、待ち時間の多い作業です。戸籍は本籍地の市区町村ごとに請求します。転籍を繰り返している方だと、5か所、6か所と遡ることになり、郵送でのやりとりが往復2週間ずつ積み上がります。金融機関の残高証明も、請求してから発行まで2〜3週間かかるのが普通です。

待ち時間は圧縮できない

この待ち時間は、こちらが急いでも短くなりません。だから、いつ請求を出すかが効いてきます。相続人の確定を待ってから残高証明を請求する、という順序で進めると、それだけで1か月を失います。実務では、判明している口座から先に請求をかけ、戸籍の収集と並行して進めます。

もうひとつ時間を食うのが、遺産分割の話し合いです。ここには締切がないため、いくらでも先延ばしができてしまう。当事務所の経験では、9か月目に入っても分け方が決まっていない案件が、毎年数件あります。

実質的な期限は8か月目

申告書の作成そのものには、2〜3週間あれば足ります。ただ、そのためには財産と分け方が確定していなければなりません。逆算すると、8か月目までに分け方を決めるのが現実的な線です。10か月あるように見えて、実際に使えるのは8か月だと考えてください。

手前にある3つの期限

相続税の10か月だけを見ていると、その手前にある期限を落とします。とくに準確定申告の4か月は、忘れられやすいものです。

3か月 — 相続放棄の判断

借金のほうが多い場合、家庭裁判所に相続放棄を申述します。この3か月を過ぎると単純承認とみなされ、負債も引き継ぎます。財産の全体像がつかめず判断できないときは、期間の伸長を申し立てられます。認められれば3か月ほど延びます。

注意が要るのは、亡くなった方の預金を引き出して使ってしまうと、単純承認したものと扱われる場合があることです。借金の有無がはっきりするまで、口座には手をつけないでください。

4か月 — 準確定申告

亡くなった方に事業所得や不動産所得、一定の年金収入があった場合、その年の1月1日から亡くなった日までの所得を申告します。相続税がかからない場合でも、この申告は必要です。期限を過ぎると加算税と延滞税がかかります。医療費控除の適用で還付になることも多く、出さないと損をします。

相続税の申告に気を取られて、この4か月を見落とす例をよく見ます。相続税がかからないと分かった時点で税理士との関わりが切れてしまい、誰も気づかないまま期限が過ぎる、という流れです。

月ごとにやること

標準的な進み方を、月ごとに並べます。実際にはこのとおりに進まないほうが多いのですが、どこで遅れているかを測る目安にはなります。

0〜1か月葬儀と、当面の届け出
年金の受給停止、健康保険証の返却、公共料金の名義変更。遺言書があるかどうかをこの時期に確認します。自筆証書が見つかったら、開封せずに家庭裁判所へ検認を申し立ててください
1〜3か月戸籍の収集と、財産の洗い出し
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めます。並行して、通帳・証券・保険証券を探します。市区町村から名寄帳を取ると、把握していなかった土地が出てくることがあります
3〜4か月準確定申告と、残高証明の請求
相続人が確定したら、各金融機関に残高証明と、過去5年分の取引履歴を請求します。発行まで2〜3週間かかります
4〜7か月財産の評価
土地は現地を見ます。間口・奥行・高圧線・私道・傾斜。いずれも減額の理由になります。非上場株式がある場合は決算書3期分から評価します
7〜8か月分け方を決める
税額の比較を見ながら、誰が何を相続するかを決めます。ここが最大の関門です。8か月目までに決まらない場合、次の章の手を打ちます

9か月目に入ったら、申告書の作成に着手します。土地と非上場株式の評価は、担当とは別の税理士が検算します。提出は期限の1〜2週間前を目標にします。ぎりぎりに提出すると、記載漏れに気づいたときに直す時間がありません。

間に合わないと分かったときの3つの手

分け方が決まらないまま9か月目を迎えた場合でも、打てる手はあります。順に検討します。

  • 法定相続分で仮に申告する。 分け方が未確定でも、法定相続分で分けたものとして申告と納税を済ませます。もっともよく使う手です。分割がまとまった段階で、更正の請求または修正申告で調整します。
  • 分割見込書を添付しておく。 「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に出しておくと、小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減を、あとから適用する権利が残ります。これを忘れると、3年以内に分割しても特例が使えません。
  • 納税資金だけ先に確保する。 未分割の状態では預金が凍結されており、納税資金が出せないことがあります。2019年から、相続人単独で預金の一部(上限150万円)を払い戻せる制度が使えます。
分け方が決まらないことより、決まらないまま何もせずに期限を過ぎることのほうが、はるかに損失が大きい。仮の申告でも、出しておけば取り返しがつきます。 当事務所の代表・税理士

まとめ

10か月を月ごとに割ってみると、待ち時間が多く、実際に判断できる期間は短いことが分かります。前半の遅れは後半で取り返せません。とくに戸籍と残高証明の請求は、早く出すほど全体が楽になります。

すでに半年が過ぎている、という段階でも手はあります。仮の申告と分割見込書で、権利を残したまま期限だけを守ることができます。まずは、いま何か月目なのかを確認してください。

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