
沢の水
山からの沢水が最初に入る一枚。夏でも15度台と冷たく、生育はいちばん遅れます。粒が締まる理由のひとつです。
味の違いは、栽培の腕より先に、土と水で決まっています。四枚の条件をそのまま出しておきます。
同じ水は、
四枚に入りません。
沢、川、雨、ため池。
入口が違えば、水温も養分も別です。
一番田には山の沢の水が最初に入ります。水温が低く、夏でも15度台です。川向は川からの導水で、日中に温められた水が入るぶん生育が早く進みます。段は用水が届かないので、雨と湧水だけ。溜はため池から時間をかけて落ちてくる水です。同じ日に同じ苗を植えても、出穂は最大で6日ずれます。
腐植の厚い溜は、慣行量の肥料を入れると稲が倒れます。逆に段は作土が浅く、雨で流れやすいため回数を分けて入れます。年に一度、四枚とも土壌分析に出して、その結果で決めています。
農薬は使っています。除草剤を初期に一回、いもち病が出そうな年に一回。無農薬とは書けません。四枚を三人で見ている以上、手取り除草だけで回すのは無理があるためです。使った薬剤名と時期は、出荷時の紙に書いています。

山からの沢水が最初に入る一枚。夏でも15度台と冷たく、生育はいちばん遅れます。粒が締まる理由のひとつです。

日中に温まった水が入るため、生育が早く進みます。四枚の中でいちばん先に刈り取ります。

用水が届きません。日照りの年は減収します。21aで四枚のうち最小、収量も最も少ない一枚です。

池の水が時間をかけて落ちてきます。養分が多く、肥料を入れすぎると倒れます。畦の柑橘もこの一枚の縁です。
年に一度、四枚とも分析に出しています。以下は直近の値です。
| 区画 | 土性 | pH | 排水 | 栽培上の注意 |
|---|---|---|---|---|
| 一番田 | 粘土(重埴土) | 弱酸性 pH5.9 | 水はけが悪い | 水を張ると抜けにくい。夏の高温期に水温が上がりやすい |
| 川向 | 砂壌土 | 中性寄り pH6.4 | 水はけが良い | 乾きが早く、日照りの年は水を足す回数が増える |
| 段 | 礫混じりの壌土 | 弱酸性 pH5.7 | 水持ちが悪い | 作土が15cmしかない。深く耕せない |
| 溜 | 腐植質の埴壌土 | 中性 pH6.2 | 中間 | 有機物が厚く、稲が倒れやすい |

土は、一年で
変えられません。
腐植を増やすのも水はけを直すのも、
年単位でしか動きません。